コーヒーにおける「コク」について考察します。英語で「body」や「richness」と表現されるこの要素、どのような特性を持つのでしょうか。ここでは、コクがあると感じるコーヒー豆の選び方や、コクを最大限に引き出すコーヒーの淹れ方を紹介します。
多くの人が「コーヒーのコクって何?」と疑問に思うかもしれません。しかし、微細な味の差を捉えることができれば、コクの本質を掴む一歩になります。継続的な経験を通じて、「これがコクだ!」と実感する瞬間が来るでしょう。
コーヒーを飲み始めた当初は、コクの感じ方がいまひとつ掴めませんでした
実際、コクって具体的には何を指すんでしょうか?
コクとは?
まずは、自身が過去に「コクを感じた」と思う瞬間を振り返ってみてください。コーヒー以外でも、コクを感じる食品や料理を思い出してみましょう。例えばカレーやラーメン、チーズ、スープなどが挙げられますが、個人的には「干し椎茸」のコクが印象的です。
しかし、これが本当にコクの正しい表現なのでしょうか。コクを定義する前に、その概念をはっきりさせる必要があります。オンラインで「コクとは何か」を検索すると、Wikipediaなどがヒットします。コクについては、甘味、うま味、苦味、塩味、酸味といった基本的な五味、さらに香りや食感が複雑に絡み合い、濃厚さや味の広がりを形成するとされています。また、すべてのおいしい食品がコクを持っているわけではありません。
コクの語源
次に、コクという言葉の起源を探ってみましょう。一説には、「濃い」から来ていると言われています。他にも、「極」を意味する説や、「酷」から来たという説もありますが、いずれも確証はありません。
英語では”body”や”rich in flavor”という表現が使われますね。”full-bodied”などとも言われます。
過去にNHKの番組「チコちゃんに叱られる」でコクについて言及されていましたが、その記録は現存しません。
チコちゃんによれば、「コクは単なる味ではない」とのことです。コクは味覚だけでなく、余韻、香り、食感など多様な感覚が組み合わさって感じられるものです。また、コクの成分として「グルタミルバリルグリシン」が挙げられています。この成分は加熱することで発生し、コクを形成しますが、自体には味はありません。
面白いですね、様々な要素が組み合わさってコクを形成するとは。干し椎茸で感じるコクは、実は味だけでなく「余韻」の部分も影響しているのかもしれません
出てきたキーワードから、これらの要素が強く感じられるものがコクと呼ばれるのでしょう
コクを感じるコーヒーの特徴
コーヒーにおける「コク」を探るため、以下の七つの要素を基に探求します:豆の種類、焙煎の度合い、濃度、味の特性、香り、水質、そして後味。これらの要素を通じて、コクが感じられるコーヒーの特性を見極めます。
豆の種類:シングルオリジン対ブレンド
ブレンド豆は複数の豆を組み合わせることで、異なる風味が融合し、より複雑な味わいを提供します。この複雑さがコクの感じられる要因の一つです。
焙煎度:浅煎り対深煎り
浅煎りではなく、適度な深煎り、特に中深煎りが理想的です。中深煎りは酸味と苦味が調和し、甘味や渋味が加わることで、味の層が深まります。
濃度:薄味対濃厚
濃厚なコーヒーは、その高い濃度により、味の層が豊かになり、より深い風味が感じられます。濃度が高いほどコクを強く感じることが多いです。
味の複雑性
複数の味が組み合わさることでコクが増すため、単一の味よりも複雑な味わいの方がコクがあるとされます。
香りの強さ
強く豊かな香りはコーヒーのコクを感じさせる重要な要素です。香りが豊かなコーヒーほど、そのコクも強く感じられます。
水質:すっきり対まろやか
まろやかな水質はコーヒーの風味を滑らかにし、コクを感じやすくします。逆にすっきりした水質では、コクが薄れがちです。
後味の長さ
長い後味を持つコーヒーは、コクが豊かであると評価されます。長く続く余韻は、コーヒーを飲んだ後もその味わいを楽しませてくれます。
これらの点を踏まえると、「コクのあるコーヒー」とは、ブレンドされた中深煎りで、濃度が高く複雑な味わいを持ち、香りが豊かで、まろやかな水で淹れた長い後味のコーヒーと定義できます
ただし、これらの条件を全て満たすコーヒーを見つけるのは容易ではありませんね!
コクを感じるコーヒーの正しい淹れ方
ここでは、「中深煎りのブレンド豆を使用し、濃厚かつ香り高い、まろやかで余韻が長いコーヒー」を淹れる方法を紹介します。
- 豆の選び方:中深煎りのブレンド豆(シティロースト)を選んでください。
- 焙煎の新鮮さ:焙煎から2〜3週間以内の新鮮なコーヒー豆を使用し、淹れる直前に挽きます。
- 淹れ方の選択:よりまろやかな味を引き出すためにネルドリップを利用します。
- 挽き方の調整:ネルドリップには通常粗挽きが推奨されますが、濃厚で複雑な味わいを求める場合は中挽きが適切です。
淹れ方
- 2杯分を淹れる場合、コーヒー粉24gとお湯300gを使用します。
- この方法で淹れたコーヒーの濃度は約1.85%と高く、非常に濃厚です。
コクのあるコーヒーの味の評価
うーん、コクは感じるけれど、少し濃すぎるかもしれません。好みではないかな
以前に好みだったコーヒーもコクを感じるタイプでした。それは口の中で広がる深い味わいと長い後味が魅力的でした
おっと、干し椎茸から学んだコクのヒントが、自分が好きなコーヒーの味につながっていたんですね
コーヒーの「コク」とその多様性
コクを有するコーヒーについて、よく言われるのは「ブレンドで中深煎り、濃厚で複雑な味わいでありながら香り豊かでまろやか、後味が長く続くもの」ですが、これは西洋のコーヒー観から来るもので、カレーやシチューのような濃厚な風味に例えられます。
しかし、私が感じるコクは、和食のだしのように、濃さよりも余韻の長さに重点を置いたものです。例えば、干し椎茸の旨味が特徴的で、その味わいが口中に広がり続ける感覚があります。
したがって、私が求める理想的なコクを持つコーヒーは、「中深煎りでさまざまな味わいがあり、酸味と苦味、甘味が調和していて、濃度は高くなく、香りが高く、すっきりした味わいで後味が長く続くもの」と定義できます。
コーヒーのコクの二つの類型
コーヒーにおけるコクには二つのスタイルがあります:
- 洋風のコク:いくつかの味が融合し、豊かな香りと濃厚でまろやかな味わいが特徴です。
- 和風のコク:様々な味が感じられつつも、香りが豊かで、味わいはクリアで後味が持続します。
簡単に言うと、これらの特性を持つものがコーヒーにおける「コク」と言えるでしょう。一方で、カレーやラーメンのようにはっきりとした味わいとは対照的に、果物のような単一的な味わいはコクが少ないとされています。
フルーティーな味を目指す浅煎りのシングルオリジンコーヒーには、「コク」という言葉が必ずしも適切ではないかもしれません。コーヒーの「コク」とは、多くの味の要素が必要とされるものです。
コクとは便利な言葉ですが、その実態はもっと複雑ですね
今日もお読みいただき、ありがとうございます。