日常的に楽しんでいるコーヒーですが、「コーヒー」という名前や「珈琲」という漢字表記がどのようにして定まったのか、詳しく知っている人は少ないでしょう。国によって異なる呼び方が存在します。英語で “coffee”、ドイツ語で “kaffee”、イタリア語では “caffè” と表現されますが、それぞれに背景があります。今回は、この飲み物の名称と漢字表記の起源に迫ります。
コーヒーの名称に関する二つの説
エチオピアの地名説
一つ目の説は、コーヒーの原産国であるエチオピアの地名「カファ(Kaffa)」に由来するというものです。ただし、エチオピアではコーヒー豆を「バン」と称し、「バンカム」という言葉でコーヒーを指していたため、この説には異論も存在します。
アラビア語の「カフワ」が語源
もう一つの主張は、アラビア語でワインを意味する「カフワ(Qahwah)」がコーヒーの名前の語源であるという説です。コーヒーがもたらす気分の高揚感がワインに似ていることから、この名前が選ばれたとされています。
現在は、アラビア語の「カフワ」の由来が最有力説です。
「珈琲」という漢字の選定理由
コーヒーを表す漢字「珈琲」の選定背景は興味深いものがあります。「可非」「可否」「黒炒豆」など多くの候補が挙がった中で、「珈琲」が選ばれました。「珈」と「琲」は共に玉をモチーフにしています。
珈の意味
「珈」の音読みは「カ」とされ、訓読みでは「かみかざり」とも読まれます。この漢字は、元々は玉で飾られたかんざしを指す言葉です。
琲の意味
一方、「琲」の音読みは「ヒ/ハイ」となりますが、この漢字は玉を連ねた飾り具を指します。
どちらの漢字も「玉」が関連していますね。
このように、コーヒーという名前とその漢字表記「珈琲」は、それぞれ独自の深い歴史と文化的背景を持っています。
「珈琲」という漢字の由来
「珈琲」という漢字は、コーヒーの木の赤い実が、過去の女性が使用していた髪飾りと似ていることから名付けられました。「珈」は髪飾りで用いられる玉飾りを、「琲」はその紐を意味します。これら二つの漢字が組み合わさり「珈琲」という表記が完成しました。この美しい由来は、コーヒーの実と髪飾りの類似性をロマンティックに捉えたものです。
珈琲を命名した宇田川榕庵
「珈琲」という漢字を命名したのは、日本の学者宇田川榕庵(うだがわようあん)です。彼は1798年に生まれ、1846年に亡くなりました。宇田川榕庵は植物学や化学を含む多岐にわたる学問で活躍し、それまで日本になかった知識を書物にして紹介したことで知られています。宇田川家は蘭学の名門家系としても知られており、榕庵はその一員としても重要な役割を果たしました。
宇田川 榕菴(うだがわ ようあん、1798年4月24日(寛政10年3月9日) – 1846年8月13日(弘化3年6月22日))は、名は榕、緑舫とも号した。宇田川榕庵とも表記される。それまで日本になかった植物学、化学等を初めて書物にして紹介した人物である。元服前の14歳の時、江戸詰めの大垣藩医の家から養子に出され藩医となる。
宇田川家は蘭学の名門として知られ、養父である宇田川玄真、また玄真の養父である宇田川玄随、榕菴の養子である宇田川興斎も蘭学者、洋学者として知られる。
Wikipediaより
オランダ商館長との交流を通じてコーヒーを初めて体験した榕庵は、その新奇な魅力に魅了され、「珈琲」という名前を提唱しました。
まとめ
コーヒーの語源である「カフア」はこのサイトの名前にも使われており、コーヒーの起源がアラビア語の「ワイン」を意味する言葉から来ていること、さらに「珈琲」の漢字が女性の髪飾りに由来していることは驚きの事実です。これらの背景を知ることで、コーヒーを楽しむときの話題も広がりそうです。