ハンドドリップでコーヒーが美しく膨らむ瞬間は、写真やビデオで見るととても魅力的です。自宅でコーヒーを淹れたとき、その香りとともに感じる膨らみが体験できれば、それに夢中になるのは間違いありません。
この感覚を一度体験すると、膨らまないコーヒーには満足できなくなるかもしれません。膨らむことで、コーヒーの新鮮さや風味が際立ちます。
以前、新しいコーヒーを使っているのに膨らまないのはなぜかという質問を受けたことがあります。
皆さんも、膨らむコーヒーと膨らまないコーヒーを経験したことはありますか?コーヒーを淹れる際に見せる膨らみは、コーヒーを楽しむ上での一つの魅力です。
ここで、その理由について簡単にご説明します。
コーヒーが膨らむ秘密は二酸化炭素です
コーヒーが膨らむ主な理由は、コーヒー豆から放出される二酸化炭素が関係しています。新鮮なコーヒー豆は、大量の炭酸ガスを放出し、それが香りとともに外へ逃げていきます。
炭酸飲料がシュワシュワと泡立つのも、この炭酸ガスが原因です。
新鮮なコーヒー豆を使用すると、どのようにお湯を注いでも、コーヒーは顕著に膨らみます。新鮮な状態なら、誰が淹れても同様の結果が得られます。
しかし、新しく購入したコーヒーが膨らまない理由は何でしょうか?その詳細に迫りましょう。
理由1:古いコーヒー豆は膨らみにくい
「古いコーヒー豆は、お湯を注いでも膨らみにくい」というのは、これまでの説明を踏まえて納得できるでしょう。
時間が経過するとコーヒー豆から炭酸ガスが抜けてしまい、その結果、水を加えても膨らまなくなります。
多くの日本人がコーヒーが膨らまない原因を自分の技術不足だと考えがちですが、それは間違いです。炭酸ガスが失われたコーヒー豆は、どんなに上手に淹れたとしても膨らみません。
「自分の淹れ方が悪いのかもしれない」と自己批判する声をよく聞きますが、新鮮なコーヒー豆であれば、どのようにお湯を注いでもしっかりと膨らむことが期待できます。実は、膨らませるための特別な技術は必要ありません。
それでも、新鮮だと思って購入したコーヒーが膨らまない場合もあります。その原因を探ってみましょう。
理由2:店で購入した挽きたてのコーヒー
挽きたてのコーヒーは、購入してから約3日後には膨らみが失われがちです。これは、専門店で新鮮な豆を購入した場合でも同じです。
コーヒーを挽くと、使用していない時でも二酸化炭素が絶えず抜けていき、その結果、香りと共に膨らみも失われます。一度挽かれたコーヒーは、ガスが素早く逃げ出してしまうため、物理的に保持することは不可能です。
一方で、コーヒー豆がそのままの状態であれば、焙煎後50日経っても適切に保存されていれば、お湯をかけた時にはまだしっかりと膨らむことが確認されています。ただし、この場合の膨らみはやや弱く、風味も落ちています。これは常温で保存された場合の実験結果です。
炭酸ガスがどれくらい残っているかを調べる実験では、挽かれた状態でもある程度香りが保たれることがありますが、粉の状態でこれを維持するのは通常難しいです。
しかし、豆の状態でも時間が経つにつれて徐々に炭酸ガスは抜けていき、品質の劣化は避けられません。また、スーパーで販売されている真空パックされたコーヒー豆も、炭酸ガスが抜けた後にパックされているため、本当に新鮮とは言えないのが現状です。
このように、コーヒーを粉状にすると、炭酸ガスが素早く放出されてしまい、新鮮な状態で購入したコーヒーも、数日で膨らみがなくなってしまいます。焙煎してから1~2週間の豆であれば新鮮と言えますが、挽いた状態では風味の劣化が顕著で、味が大きく変わることがあります。
「うまく膨らまないのは自分の淹れ方が下手だから」と考えがちですが、実際には新鮮な状態でも炭酸ガスが抜けやすい粉の状態で購入していることが原因かもしれません。また、本当に鮮度が落ちたコーヒーを使用している可能性もあります。
まとめ
以上の2つのパターンが、コーヒーが膨らまない主な理由です。コーヒーの鮮度が落ちると膨らみにくくなりますが、新鮮なコーヒーでも炭酸ガスが残っている間しか膨らみません。特に粉の状態で購入すると、膨らむ期間が非常に短くなります。コーヒーを保管している間も香りが逃げてしまうため、豆を挽くことが膨らみを保つ鍵となります。しかし、自宅で豆を挽く場合も注意が必要です。
次回の記事もお楽しみに。