私自身、これまでに本当に美味しいブルーマウンテンコーヒーを飲んだことがなく、購入した経験もありません。
ある著名なコーヒーブランドのウェブサイトでは、ブルーマウンテンを「完璧なバランスとコーヒーの魅力を併せ持つ」として紹介しています。このような表現に疑問を持つ人もいるでしょう。
私は評価の高いこのコーヒーを美味しいと感じたことがないため、その背後にあるストーリーも魅力的には感じませんでした。
皮肉を込めて言うなら、「良いものは良い、そうでないものはそうでない」というスタンスで、世界中のコーヒーを公平に評価してきました。ブランド名が味に直接関わるわけではありません。
「ブルーマウンテンの実際のところはどうなの?」とよくお客様に聞かれます。これには、しっかりと調査を行った上での本音をお答えするつもりです。
なぜこのコーヒーは高価なのか?その理由について
数年前、ブルーマウンテンコーヒーに関する情報を改めて調べ直しました。
このコーヒーはジャマイカで栽培され、特にブルーマウンテンエリアでの栽培が認められていることを理解しておくことが大切です。
過去には、日本がジャマイカの社会基盤支援の一環として、「コーヒー栽培の能力向上」も手掛けました。これにより、ジャマイカはコーヒー輸出を増やし、経済成長を目指していました。
この支援は「お金を貸して自立を促す」という形で行われ、将来的にジャマイカが返済することが前提とされていました。これは「円借款」として知られる有償資金協力です。
日本とジャマイカは、大手日本企業と協力してジャマイカのコーヒーを独占的に輸入する強い関係を築きました。これにより、ブルーマウンテンのほぼ独占が実現し、その影響は明らかです。
コーヒー豆の価格操作と独占
ブルーマウンテンコーヒーの価格は、日本市場において意図的に高く設定されており、これが高級品としてのイメージを定着させました。その結果、大手企業は莫大な利益を得ています。
さらに、ブランドの認知度を高めるために「ブルーマウンテンは英国王室御用達」という誇張広告が展開されましたが、実際にはジャマイカのコーヒーがイギリス王室で使用されたことはありません。このような虚偽の情報は、ジャマイカがかつてイギリスの植民地だったことを背景に生まれたものです。
現在も、テレビCMを通じて高級感が強調されていますが、「英国王室御用達」という言葉はもはや使われていません。
ブルーマウンテンコーヒーの国際的評価
私の友人でバリスタのアメリカ人にブルーマウンテンコーヒーの評価を尋ねたところ、「Blue Mountain? カナダのスキーリゾートのこと?」との回答でした。
アメリカではジャマイカ産コーヒーがあまり知られておらず、その主な理由は日本への独占的な輸入にあるかもしれません。アメリカやカナダで「Blue Mountain」を検索すると、スキーリゾートの情報が表示されることが多いです。
ブランド名効果と市場への影響
「マウンテン」という名前がつくだけで商品の魅力が増すという現象が見られます。クリスタルマウンテン、エメラルドマウンテン、トロピカルマウンテンなど、多くの製品がこの傾向に乗じています。
このようなブランド戦略が「日本人が日本人を欺く」という状況を作り出し、私はこれに強い嫌悪感を持っています。そのため、私はブルーマウンテンを取り扱っておらず、今後も取り扱う予定はありません。主な理由は、単純に味を感じないからです。ブルーマウンテンブレンドなども意味が不明だと考えています。
結論
ブルーマウンテンは「ブランド戦略」を利用して高級感を演出していますが、実際には世界中で栽培されるコーヒーの中には、知名度が低くても非常に美味しいものがたくさんあります。私はこれからもコーヒー豆の本当の味に焦点を当て続けるつもりです。
もしブルーマウンテンが偽ブランド戦略を止め、価格が適正になり、その味が素晴らしいものであれば、私も仕入れを検討するでしょう。しかし、ブランド戦略が続く限り、縁はないと思います。
「流行に流されず、自己の感覚を大切にする」ことがコーヒーを楽しむ上での鍵です。日本人がブランドを過度に重視することを批判する声もありますが、嗜好品として自分の感覚に従ってコーヒーを選び、楽しむべきです。それでもまだブルーマウンテンを選びますか、それとも他の選択肢を探しますか?