焙煎度を基準に選ぶ問題点
よくお客様から、焙煎の程度について質問されます。「どの焙煎が一番良いのですか?ミディアムローストですか、それともシティローストですか?」とのことです。
私は「一概には言えません」と答えることが多いです。すると、多くの方が「それは豆によって異なるのですね」と理解を示してくれます。
しかし、詳しく説明しようとすると時間がかかるため、普段は要点を絞って説明しています。ただし、この「コーヒーの基礎知識」ブログでは、焙煎の度合いに関する情報を明確にして伝えることが重要です。特に、コーヒー豆の説明で頻繁に出る「焙煎度」に依存しない選び方の重要性をお伝えします。
ミディアムローストとダークローストの区別
実は、コーヒー豆の焙煎度を示すこれらの用語には、具体的な基準がしっかりと存在しているわけではありません。私も最初は、これらの用語がはっきりとした基準に基づいていると思っていましたが、それが主に見た目に基づいていると知った時、そのあいまいさに驚きました。
焙煎の際の誤差について
「朝と夜で同じ色の豆を焙煎することは可能ですか?」「晴れと雨で同じように焙煎できますか?」といった疑問が常にあります。私自身、視覚だけで色を完全に一致させる自信はありません。これを一貫して行うことが職人技と見なされがちですが、実際は個人の判断に依る部分が大きいです。
このような変動が最終的に顧客に影響を与えるため、私はこの要素を自分のコーヒー作りに取り入れることを避けています。
焙煎中の色彩変化の観察
焙煎が進むにつれ、豆の色は徐々に濃くなり、色の識別が難しくなっていくことが分かります。これは一部で職人技とされることもありますが、私が最初から目指していたわけではありません。
焙煎技術の参考書籍
私が使用しているのは、「自家焙煎技術講座」という絶版になっている書籍です。インターネットで見つけて購入しました。このような書籍を参考に焙煎技術を学ぶのが一般的ですが、実際に自分で試してみることにしました。時間が経ってもなお価値のある情報であり、異なる照明の下での色の見え方を体験することができました。この経験がなければ、その違いに気づかなかったかもしれません。
【結論】
焙煎のプロセスは非常に微妙で変動しやすいものです。
店舗間で異なる焙煎基準
焙煎は職人の感覚に強く依存するため、店舗ごとに焙煎の基準が異なるのは当然のことです。同じローストガイドを使っていても、使用する参照見本が違えば、焙煎の結果も変わってきます。この課題に対処するため、最近ではローストカラーアナライザーという精密機器が導入されています。この機器を使用すれば焙煎の色合いを正確に判定できますが、使わない場合は個々の解釈に依存することになり、「個人的なミディアムロースト」や「個人的なダークロースト」といった表現が出てきます。
こうした事情から、同じ用語を使っても各店舗で基準が一致しないことが多く、これが私が納得できない点です。
焙煎色を使った商品説明の妥当性
コーヒー豆の販売において、最終製品の外観が似ているためローストカラーを説明ツールとして使うことには疑問があります。微細な色の差を「職人の技」として強調することは一般的ですが、これは顧客にとって理解しづらいと明らかです。微妙な色差でローストの種類を分けるのは、実際には顧客と店舗間で同じ基準で通用しないことが多いです。
さらに、焙煎の差異を具体的に説明せずに「こだわり」として扱うことは、本質を曖昧にしていると感じます。過去にコーヒー愛好家として特定のローストに惹かれた経験がありますが、その魅力は単にラベルの響きだけだったかもしれません。
顧客が特定のローストを好むと認識すると、「このローストが好き」と単純に思い込むことがあります。その結果、そのタイプのローストだけを求めるようになり、コーヒー豆の選択肢が狭まります。これは顧客だけでなく、業界全体のサービス品質を低下させる可能性があります。
まとめ
この議論から、コーヒー豆の選び方をもっと明確にすることの重要性が明らかになりました。
次回の記事では、さらに良い選択方法を探求し続けます。